第16回明藤書道会書展

まだ夏の日差しが残るとはいえ、澄んだ青空が高く感じられるようになった初秋の週末、
2024年9月7日(土)8日(日)の2日間、シアトル・センター内 A/NT ギャラリーにおいて第16回明書道会書展が開催された。コロナ禍をはさんで、2019年の東京展から数えると5年ぶり、今回と同じギャラリーで開催した2018年からは、実に6年ぶりの社中展である。

「Listen to the Silence」をテーマとした本書展では、成立高校勤務時代の上司であった毎日書道会評議員丸尾鎌使先生の半切作品【KO-DOU】を賛助出品に迎え、藤井良泰会長の長尺作品「聴無聲」をメインに、シアトル本部、東京、九州、ハワイ、ロサンゼルス、ポートランド各地の一般および教育部会員の掛軸作品 153点が展示され、2日間の会期中の来場者は600人を超えた。地元の方々に日本の書道を紹介し、墨色で作り上げられる書というアートの楽しみ方を知っていただきたいという思いで、両日とも約1時間の藤井会長の書道デモンストレーションが行われた。観客と一緒に竹の葉や梅の花、たくさん並んだ蟹の絵を描いて、筆の動き、筆の使い方、の合いなどを目で見て書いてみて楽しんでいただき、それぞれの絵にはそれぞれ見合った詩が賛として添えられ作品が作り上げられた。その他にも多字数作品や、故郷を想って書き上げた大きな作品などで観客を魅了した。また、デモンストレーションに先立っては、藤井直子副会長が、様々な濃淡の墨色の美しさと漢字の成り立ちが分かる漢字クイズを来場者と共に楽しんだ。

前面がガラス張りで柔らかい日差しが差し込むギャラリーの中に整然と並んだ作品からはまさに「聲無きを聴く」の如く、会員が作品を作り上げるまで、紙と、墨と、筆と向き合い聴いてきた内なる撃が感じられ、作品の一点一点が語りかけてくるようだった。コロナ禍のリモート授業の間に入会し社中展の参加が初めてという会員も多かったが、軸装された自分の作品が美しいギャラリーに展示されている光景に、これからさらなる研鎖を積もうという想いを新たにし、2日間の書展は幕を閉じた。